2018年1月28日日曜日

職業を選択するという自由

自分自身、本当に人に恵まれて育ってきたと思う。
この環境で生きていく上で、まさに適した人に出会い人間形成されてきたのだとつくづく思う。
旅館を営みながら自由に生活していると思う。
自由には必ず規律がともなう。
自由だから何をやってもいいというものではなく、自らが科したルールを厳守することが最も自分らしく生きていく思考の源となる。
家業を継承する上で最初に疑問視するもの。
それは職業を選択する自由を奪われる理不尽さなのかもしれない。
使命感や責任感などというものを押し付けられて育てられたのでは、決してその疑問符を自らの考えで解決できるものではない。
「将来の夢」として子供は自由な発想で答えるが、それはまだこの概念が無いから「飛行機のパイロット」とか「仮面ライダー」とか「警察官」と答えるのだと思う。
この答えは「夢=職業」なのである。
職業は夢ではない。その職業につき、どのように生きていくかが最も大事なのである。
子供との対話の中で、将来像がどのようになっているかが大切なのだと思う。
パイロットになり、仮面ライダーになり、警察官になりどんな生活をしていきたかが本当の「将来の夢」なのだと思う。
自由という概念や、自らがもつ規律に早く気付き、育むことが教育の根本のような気がします。
私が人に恵まれたと思うのは、様々なターニングポイントにおいて重要な人達に気付かせてもらえてからなのかもしれません。
ではその気付きの場はどうもたらされたか。
親の責任は大きいと思います。
「感謝」「畏れ」「優しさ」「厳しさ」「忍耐」「自立」「共感」など親が子に思う「立派な人間になってほしい」という考えは様々。
そういったファクターが沢山ある親が、子に人に恵まれるための最初のレールをしくのだと思います。
親が敷いたレールの上を歩いて来ました。よく聞くフレーズですが、テレビドラマの主人公が警察官僚の御曹司や大物政治家の息子役で、劇中30歳くらいで初めて大きな失敗をして吐くセリフです。
罪を犯してしまった息子を見た親は「育て方を間違ってしまった」と言って、秘書にその罪をなすりつけるストーリーはありふれています。
親もレールを敷き続けてきたわけですから、苦労も多かったことでしょう。
しかしながらそのレールは自らの地位や利益を最優先にしてきたから、間違いが起きたのだと思います。
どこかで気が付かなければならなかったのだと思います。
最初に敷いたレールを子供と一緒に見据えて、これで行こうと夢を共有しなければならなかったのだと思います。
どこまでそのレールを敷くか。新しく子供が自ら進む上で見守ることができるか。
それが大事なのだと思います。
自由とは職業を選択することでは決してありません。
不自由だ不自由だとなげくのは仕事がないからではありません。
自由にはリスクがともないます。だから規律が必要なのです。
世の中に潜むリスク。それを受け止められるだけの体力を付けさせることが、子供に自由意志を身に着けさせる最も大切なことだと思います。

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